リアル・ラヴ (ビートルズの曲)
「リアル・ラヴ」 | ||||||||||
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ジョン・レノンの楽曲 | ||||||||||
収録アルバム | 『イマジン (オリジナル・サウンドトラック)』 | |||||||||
英語名 | Real Love | |||||||||
リリース | 1988年10月10日 | |||||||||
録音 |
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時間 | 2分48秒 | |||||||||
レーベル | ||||||||||
作詞者 | ジョン・レノン | |||||||||
作曲者 | ジョン・レノン | |||||||||
プロデュース | ||||||||||
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「リアル・ラヴ」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ビートルズ の シングル | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
初出アルバム『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
B面 | ベイビーズ・イン・ブラック (ハリウッド・ボウル・ライヴ!!) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
リリース | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
規格 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
録音 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
ジャンル | ロック | |||||||||||||||||||||||||||||||||
時間 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
レーベル | アップル・レコード | |||||||||||||||||||||||||||||||||
作詞・作曲 | ジョン・レノン | |||||||||||||||||||||||||||||||||
プロデュース | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
ゴールドディスク | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
後述を参照 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
チャート最高順位 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
後述を参照 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「リアル・ラヴ」(Real Love)は、元ビートルズのジョン・レノンによって書かれた楽曲である。レノンは1979年と1980年に「Real Life」というタイトルで、6種類のデモ音源を作成。そのうち、1979年10月に録音したデモ音源が1988年に発売された『イマジン (オリジナル・サウンドトラック)』に収録された。
1995年にビートルズの「ザ・ビートルズ・アンソロジー」プロジェクトの一環で、レノンが生前に録音したデモテープを基に、残った3人のメンバー(ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター)によって手が加えられ、1996年に発売の『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』に新曲として収録された。後にシングル・カットされ、イギリスで最高位4位を記録[1]。
背景
[編集]元々は「Girls and Boys」という楽曲で、それを改作したものが本作となる[2]。1977年に自宅で携帯式テープレコーダーに初のデモ音源が録音され、途中でタイトルが「Real Life」に変更された。1979年と1980年にデモ音源が6回録音された後、最終的に「Baby Make Love to You」と組み合わされた。
1978年にレノンとオノは、前年より「The Ballad of John and Yoko」と題したミュージカルを計画していることをマスコミに発表。この時点でこのミュージカルに、本作と「男は誰もが」が使用されることが決定していた[3]。
デモ音源の制作過程で歌詞が変更されており、「no need to be alone / it's real love / yes, it's real love」というフレーズが「Why must it be alone / it's real / well it's real life」というような形で変更された。また、複数のテイクにアコースティック・ギターが入っており、ビートルズ・バージョンにはレノンによるピアノや仮段階ながらもダブルトラッキングされたボーカル、タンバリンの音が入っている。
レノンは、1980年に発売した『ダブル・ファンタジー』に、本作を収録することを考えており、収録順決めを行なった際の手書きの原稿にはB面1曲目に本作が配置されていた[4][注釈 1]。結果、本格的なレコーディングが行なわれることなく、1988年に発売された『イマジン (オリジナル・サウンドトラック)』にデモ音源が収録されるまで、世間に発表されることはなかった。その後、1998年に発売の『ジョン・レノン・アンソロジー』と2005年に発売の『決定盤ジョン・レノン〜ワーキング・クラス・ヒーロー』にピアノの弾き語りデモ音源が収録され、2004年に発売の『ラヴ〜アコースティック』にアコースティック・ギターの弾き語り音源が収録された。
ビートルズバージョンへ
[編集]1994年、アンソロジー企画が進み、ポール・マッカートニー・ジョージ・ハリスン・リンゴ・スターの3人は新曲をレコーディングすることを決定[5]。マッカートニーがオノ・ヨーコに「彼の未発表曲はないか?」と尋ね、オノは1977年頃にレノンが自宅で録音した未発表曲「フリー・アズ・ア・バード」「グロー・オールド・ウィズ・ミー」「リアル・ラヴ」「ナウ・アンド・ゼン」の4曲[6]のデモテープをマッカートニーに渡した[5]。
ビートルズ・バージョンの作業は、「フリー・アズ・ア・バード」と同様にサセックスにあるマッカートニーの自宅スタジオで行なわれた。ビートルズ・バージョンへのリニューアル過程はまず、コンピュータで伴奏などの雑音を取り除き、その上からレノンのボーカルに合わせてマッカートニーのボーカルをオーバー・ダビング。その後、レノンのデモ音源に対して、コントラバスとフェンダー・ジャズベースによるベースのパート、フェンダー・ストラトキャスターによる2種類のギターのパート、ドラムのパートが加えられ、この他にハープシコードやハーモニウムがオーバー・ダビングされた。また、テープの回転速度が上げられており、レノンのデモ音源よりもキーが半音高くなっている[7]。
クレジット
[編集]- デモ音源
- ビートルズ・バージョン[8][9]
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- ジョン・レノン - ダブルトラックのリード・ボーカル、ピアノ
- ポール・マッカートニー - バッキング・ボーカル、アコースティック・ギター、ピアノ、ベース、コントラバス、ハーモニウム、ハープシコード[10]、パーカッション
- ジョージ・ハリスン - バッキング・ボーカル、エレクトリック・ギター、アコースティック・ギター、パーカッション
- リンゴ・スター - バッキング・ボーカル、ドラム、パーカッション
- ジェフ・リン - バッキング・ボーカル、ギター
シングル収録曲
[編集]- 収録曲の邦題は、CDの帯に記載されている曲目に準拠。
# | タイトル | 作詞・作曲 | 時間 |
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1. | 「リアル・ラヴ」(Real Love) | ジョン・レノン | |
2. | 「ベイビーズ・イン・ブラック (ハリウッド・ボウル・ライヴ!!)」(Baby's in Black) | レノン=マッカートニー | |
合計時間: |
# | タイトル | 作詞・作曲 | 時間 |
---|---|---|---|
1. | 「リアル・ラヴ」(Real Love) | ジョン・レノン | |
2. | 「ベイビーズ・イン・ブラック (ハリウッド・ボウル・ライヴ!!)」(Baby's in Black) | レノン=マッカートニー | |
3. | 「イエロー・サブマリン (別テイク)」(Yellow Submarine) | レノン=マッカートニー | |
4. | 「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア (別テイク)」(Here, There And Everywhere) | レノン=マッカートニー | |
合計時間: |
チャート成績(ビートルズ版)
[編集]週間チャート
[編集]チャート (1996年) | 最高位 |
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オーストラリア (ARIA)[11] | 6 |
ベルギー (Ultratop 50 Flanders)[12] | 50 |
カナダ トップシングルス (RPM)[13] | 12 |
カナダ アダルト・コンテンポラリー (RPM)[14] | 38 |
チェコ (IFPI CR)[15] | 2 |
デンマーク (IFPI)[16] | 8 |
ヨーロッパ (Eurochart Hot 100)[17] | 5 |
フィンランド (Suomen virallinen lista)[18] | 4 |
フランス (SNEP)[19] | 36 |
ドイツ (GfK Entertainment charts)[20] | 45 |
ハンガリー (Mahasz)[21] | 8 |
アイルランド (IRMA)[22] | 8
|
イタリア (Musica e dischi)[16] | 6 |
日本 (オリコン) | 53 |
オランダ (Dutch Top 40)[23] | 20 |
オランダ (Single Top 100)[24] | 21 |
スコットランド (Official Charts Company)[25] | 4 |
スウェーデン (Sverigetopplistan)[26] | 2 |
スイス (Schweizer Hitparade)[27] | 26 |
UK シングルス (OCC)[1] | 4 |
US Billboard Hot 100[28] | 11 |
US Cash Box Top 100[29] | 10 |
認定(ビートルズ版)
[編集]国/地域 | 認定 | 認定/売上数 |
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アメリカ合衆国 (RIAA)[31] | Gold | 500,000^ |
* 認定のみに基づく売上数 |
トム・オデールによるカバー
[編集]「リアル・ラヴ」 | |||||||||||||||||
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トム・オデールの配信限定シングル | |||||||||||||||||
英語名 | Real Love | ||||||||||||||||
リリース | 2014年11月6日 | ||||||||||||||||
規格 | デジタル・ダウンロード | ||||||||||||||||
ジャンル | ポップ | ||||||||||||||||
時間 | 2分21秒 | ||||||||||||||||
レーベル | ソニー | ||||||||||||||||
作詞者 | ジョン・レノン | ||||||||||||||||
作曲者 | ジョン・レノン | ||||||||||||||||
チャート順位 | |||||||||||||||||
別記参照
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トム・オデールは、2014年に放送されたイギリスの百貨店チェーンジョン・ルイスのクリスマスギフトのCMソングとしてカバー[32]。このカバー・バージョンは、2014年11月6日に配信限定シングルとして発売され[33]、2016年に発売されたEP『Spending All My Christmas』にも収録された[34]。
オデールによるカバー・バージョンは、全英シングルチャートに9週にわたってチャートインし、2週目で最高位7位を記録した[35]。
# | タイトル | 作詞・作曲 | 時間 |
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1. | 「リアル・ラヴ」(Real Love) | ジョン・レノン | |
合計時間: |
チャート成績(トム・オデール版)
[編集]チャート (2014年) | 最高位 |
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アイルランド (IRMA)[22] | 16 |
オランダ (Single Top 100)[36] | 89 |
スコットランド (Official Charts Company)[37] | 9 |
UK シングルス (OCC)[35] | 7 |
その他のアーティストによるカバー
[編集]- レジーナ・スペクター - 2007年に発売されたトリビュート・アルバム『Instant Karma: The Amnesty International Campaign to Save Darfur』に収録[38]。同年に開催されたボナルー・フェスティバルでも演奏された[39]。
- アダム・サンドラー - 2009年に公開された映画『素敵な人生の終り方』で演奏。同作のサウンドトラック盤にも収録された[40]。
- シャキー・グレイブス - 2020年にBandcampにて配信限定で発表した。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 最終的にB面1曲目には「ウォッチング・ザ・ホイールズ」が収録された。
出典
[編集]- ^ a b "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2020年8月25日閲覧。
- ^ Wiener 1994, p. 151.
- ^ Miles, Barry; Badman, Keith, eds (2001). The Beatles Diary After the Break-Up: 1970–2001 (reprint ed.). London: Music Sales Group. ISBN 978-0-7119-8307-6
- ^ “Photographic image of album tracks” (JPG). Beatlephotoblog.com. 2013年6月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月25日閲覧。
- ^ a b The Beatles Anthology DVD 2003 (Special Features: Recording Free as a Bird and Real Love - 0:00:50–0:01:04) Starr talking about the idea of recording incidental music for the Anthology project.
- ^ Everett 1999, p. 8.
- ^ Badman 2001, p. 1151.
- ^ MacDonald 2005, p. 379.
- ^ Lewisohn, Mark (1996). Anthology 2 (CD booklet liner notes). The Beatles. Apple Records. p. 4.
- ^ Everett 1999, p. 290.
- ^ "Australian-charts.com – The Beatles – Real Love". ARIA Top 50 Singles. 2020年8月25日閲覧。
- ^ "Ultratop.be – The Beatles – Real Love" (in Dutch). Ultratop 50. 2020年8月25日閲覧。
- ^ "Top RPM Singles: Issue 2950." RPM. Library and Archives Canada. 2020年8月25日閲覧。
- ^ "Top RPM Adult Contemporary: Issue 2914." RPM. Library and Archives Canada. 2020年8月25日閲覧。
- ^ “Top National Sellers”. Music & Media 13 (16): 20. (20 April 1996) 2020年8月25日閲覧。.
- ^ a b “Top National Sellers”. Music & Media 13 (13): 23. (30 March 1996) 2020年8月25日閲覧。.
- ^ “Eurochart Hot 100 Singles”. Music & Media 13 (13): 21. (30 March 1996) 2020年8月25日閲覧。.
- ^ "The Beatles: Real Love" (in Finnish). Musiikkituottajat – IFPI Finland. 16 May 2016閲覧。
- ^ "Lescharts.com – The Beatles – Real Love" (in French). Les classement single. 16 May 2016閲覧。
- ^ "Offiziellecharts.de – The Beatles – Real Love". GfK Entertainment Charts. 12 April 2020閲覧。
- ^ “Top National Sellers”. Music & Media 13 (17): 15. (27 April 1996) 2020年8月25日閲覧。.
- ^ a b “The Irish Charts - Search Results - Real Love”. Irish Singles Chart. 2022年3月27日閲覧。
- ^ "Nederlandse Top 40 – week 13, 1996" (in Dutch). Dutch Top 40 2020年8月25日閲覧。
- ^ "Dutchcharts.nl – The Beatles – Real Love" (in Dutch). Single Top 100. 2020年8月25日閲覧。
- ^ "Official Scottish Singles Sales Chart Top 100". Scottish Singles Top 40. 2020年8月25日閲覧。
- ^ "Swedishcharts.com – The Beatles – Real Love". Singles Top 100. 2020年8月25日閲覧。
- ^ "Swisscharts.com – The Beatles – Real Love". Swiss Singles Chart. 2020年8月25日閲覧。
- ^ “The Hot 100 Chart”. Billboard. 2022年1月11日閲覧。
- ^ “Cash Box Top 100 Pop Singles”. Cashbox Archives. 2020年8月25日閲覧。
- ^ “RPM Top 100 Hit Tracks of 1996”. RPM. Library and Archives Canada. 2022年1月11日閲覧。
- ^ "American single certifications – The Beatles – Real Love". Recording Industry Association of America. 2020年8月25日閲覧。
- ^ “【CMウオッチャー】世界を泣かせたXマスCM 少年とペンギンから何を感じる”. 産経ニュース. 産経新聞社. p. 2 (2014年11月27日). 2022年7月14日閲覧。
- ^ “Real Love (from the John Lewis Christmas Advert 2014) - Single by Tom Odell”. Apple Music. 2022年7月14日閲覧。
- ^ “Tom Odell Premieres ‘Silhouette’ From New ‘Spending All My Christmas With You’ EP!”. www.justjared.com. =Just Jared (2016年11月28日). 2022年7月14日閲覧。
- ^ a b "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2022年7月14日閲覧。
- ^ "Dutchcharts.nl – Tom Odell – Real Love" (in Dutch). Single Top 100. 2022年7月14日閲覧。
- ^ "Official Scottish Singles Sales Chart Top 100". Scottish Singles Top 40. 2022年7月14日閲覧。
- ^ Instant Karma: The Amnesty International Campaign to Save Darfur - Various Artists | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月25日閲覧。
- ^ Padgett, Ray (2010年8月20日). “Consequence of Sound Presents…Best Fest Covers » Cover Me ”. Covermesongs.com. 2020年8月25日閲覧。
- ^ Funny People - Original Soundtrack - Various Artists | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月25日閲覧。
参考文献
[編集]- Badman, Keith (2001). The Beatles Diary Volume 2: After The Break-Up 1970-2001 (Revisited ed.). Omnibus Pr & Schirmer Trade Books. ISBN 0-7119-8307-0
- Everett, Walter (1999). The Beatles As Musicians: Revolver through the Anthology. New York: Oxford University Press. ISBN 978-0-19-512941-0
- MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (2nd rev. ed.). Chicago, IL: Chicago Review Press. ISBN 978-1-55652-733-3
- Wiener, Allen J. (1994). The Beatles: The Ultimate Recording Guide. Adams Media Corp. ISBN 1-5585-0414-1
外部リンク
[編集]- Real Love - The Beatles